最も配点比率が高い
「耐震」と「地盤」
新築だけでなく、リノベーションにおいても耐震性能の向上は欠かせません。住まう家族の命を守り、地震のあとも安心して暮らし続けられる住まいでなければ、本当の意味で災害に備えたとは言えないからです。そのためには、建物の構造を適切に補強し、大地震にも耐えられる強さを確保することが最優先となります。
また、建物そのものを強くするだけでは十分ではありません。どれほど建物を補強しても、地盤が弱ければ安心できる住まいにはならないためです。リノベーションであっても、新築時と同じように地盤調査を行い、必要に応じて地盤補強などの対策を検討することが重要です。
耐震性能は、住まいを長く使い続けるうえで最も重要な基盤となるもの。だからこそ、リノベーションみらつぐ基準では、総得点160点のうち55点を耐震性能に配点し、最重要項目として位置づけています。
耐震性能向上の難しさ
リノベーションにおいて、最も重要でありながら、最も難易度が高く悩ましいのが「耐震性能の向上」です。耐震基準はこれまで幾度も改正されてきました。しかしリノベーションでは、「古い基準」で建てられた既存建物を扱うことになるため、現在の基準に適合させるための是正が必要になります。
中でも特に難しいのが、「既存基礎」の扱いです。現在の基準とは異なり、当時の基礎には鉄筋が入っていなかったり、コンクリート自体が劣化していたりするケースも少なくありません。そうした部分が、耐震性における弱点となることがあります。とはいえ、基礎の上には柱や梁による木構造が載っているため、既存基礎をすべてやり替えるには、大きな手間とコストが伴います。
そのため現在の性能向上リノベーションでは、既存基礎は評価対象から切り離し、「上部構造評点」という指標で耐震性能を判断するのが一般的です。これは、基礎より上の木構造のみを対象にした評価方法です。
上部構造評点
「上部構造評点」とは、耐震リフォームを行う際に用いられる、建物の耐震性能を測るための指標です。屋根の重さや延床面積、階数といった建物条件をもとに、耐力壁の量や配置バランス、接合部の仕様などを総合的に数値化し、評価していきます。
一般的には、評点1.0が現在の建築基準法レベルとされ、「大地震でも倒壊しない」水準の目安とされています。
しかし実際には、古い建物で評点1.0を超えるケースは稀です。さらに、比較的新しい建物まで含めても、0.2〜0.6程度に留まっているものが多いのが実情だと思われます。
許容応力度計算
新築みらつぐ基準における最低基準は、「許容応力度計算による耐震等級3」です。許容応力度計算とは、基礎コンクリートをはじめ、柱や梁など、建物を構成する各部材の強度を個別に検証し、建物全体の安全性を厳密に算出する構造計算のこと。一般的な簡易耐震診断よりも、はるかに精度の高い評価方法です。
建築基準法レベルを「耐震等級1」とした場合、その1.5倍の地震力に耐えられる性能が「耐震等級3」。この計算には、地盤の状態や基礎の強度まで含めて評価されます。
あまり一般的ではありませんが、リノベーションにおいても、この「許容応力度計算」や「耐震等級」という指標を用いることは可能です。もちろん、そのためには上部構造を曳家(移動)したり、ジャッキアップして持ち上げたりしながら、新たに基礎を施工するなど、大掛かりな工事が必要になります。
それでも、リノベーションだからといって、新築レベルの耐震性能を諦める必要はありません。適切な設計と施工によって、既存建物でも高い耐震性能を実現することは可能なのです。
リノベーションみらつぐ基準
「耐震」項目評価
当会が定めるリノベーション基準では、耐震性能の評価を大きく二つに分けています。
ひとつは、基礎より上の木構造のみを対象とする「耐震診断法評価(上部構造評点)」。
もうひとつは、基礎や地盤を含め、建物全体を精密に検証する「許容応力度計算による耐震等級評価」です。
配点は、新築基準における最低基準である「許容応力度計算による耐震等級3」を最高得点として設定。そこから等級2、等級1、さらに上部構造評点による評価へと続きます。
許容応力度計算による耐震等級3 55点
許容応力度計算による耐震等級2 42点
許容応力度計算による耐震等級1 30点
耐震診断法における上部構造評点1.5 30点
耐震診断法における上部構造評点1.25 20点
耐震診断法における上部構造評点1.0 10点
それ未満 0点
また、耐震性能を語る上で欠かせないのが「地盤」です。当会では地盤調査も必須項目としており、軟弱地盤の場合には適切な補強を実施。そのうえで、地耐力(地盤の強さ)に応じて加点を行います。
さらに、建物と地盤を一体で把握するために、常時微動探査や、建物下でのSWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)の実施も推奨しています。
常時微動探査を地盤+建物で実施
地盤調査(SWS試験)を建物下で実施
加点基準は以下の通りです。
地耐力 30kN/㎡ 10点
地耐力 20kN/㎡ 5点
それ未満/調査なし 0点
建物単体ではなく、「地盤を含めた住まい全体」で安全性を考えること。それが、性能向上リノベーションにおいて重要だと考えています。

