リノベーション結露対策性能基準

住まいを腐らせないための、結露対策。(配点 20 / 160)

“見えない劣化” を
起こさないための
「結露対策性能」

断熱性能や気密性能と並んで重要なのが、「結露対策性能」です。結露というと、窓ガラスが曇ったり濡れたりする現象を思い浮かべるかもしれません。しかし住宅にとって本当に深刻なのは、壁の内部など、目に見えない場所で起こる結露です。

どれだけ断熱性能や気密性能を高めても、温度差や湿気の流れを適切に制御できていなければ、建物内部では結露が発生します。室内外の温度差、空気中の水蒸気量、そして断熱・気密・換気のバランス。それらが適切に設計・施工されていないとき、結露は起こります。

そして、この“見えない結露”は、住宅に深刻なダメージを与えます。
・木材の腐朽
・金物の錆
・断熱材の性能低下
・カビの発生
こうした劣化は、建物の寿命を静かに、しかし確実に縮めていくのです。

日本の住宅における
結露問題1

これまで日本の住宅では、「結露対策性能」が十分に重視されてきたとは言えません。窓の結露など、目に見える“表面結露”への注意喚起はあったものの、壁の内部で起こる「壁体内結露」を前提とした設計・施工・評価は、必ずしも一般的ではありませんでした。

その背景には、断熱・気密性能が長らく義務化されてこなかったことや、結露が“住み始めてから徐々に現れる問題”だったことがあります。さらに、構造劣化が表面化するまでに時間がかかるため、不具合として認識されにくかったのです。その結果、築年数の浅い住宅でも、内部では構造劣化が進行しているケースは少なくありません。

また、日本の住宅は長らく「低断熱・低気密」だったため、それ自体が結果的に“結露しにくい状態”を生んでいた側面もあります。結露とは、空気中の水蒸気が冷やされ、露点温度を下回ることで水になる現象です。そして空気は、温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができます。

つまり、従来の寒く乾燥した住宅では、そもそも室内空気に含まれる水蒸気量が少なく、壁内で大量の結露が起こりにくかったとも考えられます。一方で、近年の高断熱・高気密住宅は、冬でも室内が暖かく、湿度も保たれています。その暖かく湿った空気が冷たい部分に触れることで、壁内では大きな結露リスクが生まれるのです。
つまり、高性能住宅であればあるほど、結露対策の設計と施工が重要になるとも言えます。

日本の住宅における
結露問題2

そして、ここ数年でさらに問題視されているのが「夏型結露」です。特に温暖地では、気候変動により真夏の亜熱帯化(高温多湿化)が進み、夏の外気が含む水蒸気量は非常に大きなものになりました。

そのような高温多湿な空気は、冷房された空気に触れると途端に液体化してしまいます。結露は冬に起きるもの、という常識を打ち崩す現象が、いま日本の住宅で起こり始めているのです。

結露計算とは

住まいの結露対策性能は、「結露計算」によって確認することができます。
住宅の壁や屋根は、断熱材、防湿気密シート、構造用パネルなど、さまざまな建材が積層して構成されています。そして、それぞれの建材には、「熱の伝わりにくさ(断熱性能)」や「水蒸気の通しにくさ(透湿抵抗)」があります。

結露計算では、室内外の温度・湿度条件をもとに、それらの建材を通じて熱や水蒸気がどのように移動するかを解析し、内部で露点温度に達する箇所がないかを確認します。つまり、「壁の中で結露が発生するかどうか」を、設計段階で事前に判定するための計算です。

結露は、住宅の性能低下や寿命短縮に直結する問題です。だからこそ、壁や屋根の構成を決める段階で結露計算を行い、断熱材や防湿シートの仕様を適切に検討することが重要になります。

結露計算の設定条件

結露計算では、「どの温湿度条件で計算するか」が非常に重要になります。そもそも、日本の住宅において結露計算は法的義務ではなく、現在も任意・努力義務という扱いです。

2022年には、住宅性能表示制度に関して国土交通省から結露計算条件の見直しが示されましたが、これもあくまで評価制度上の基準であり、法律として義務化されたものではありません。

その際に示された計算条件は、以下のようなものです。
外気:最寒月の平均気温、相対湿度70%
室内:室温15℃、相対湿度60%

つまり、「真冬にこの条件下で結露が起きないか」を判定する計算です。しかし、この条件は決して十分とは言えません。なぜなら、「室温15℃で生活する」という前提自体が、現代の高性能住宅においてはあまり現実的ではないからです。

空気は温度が高いほど、多くの水蒸気を含むことができます。高断熱・高気密住宅では、冬でも20℃以上の室温を保ち、加湿しながら快適に暮らすことが一般的になりつつあります。つまり実際の住環境は、室温15℃・湿度60%という想定より、はるかに結露リスクが高い条件になっているのです。

さらに、2022年の通達が対象としているのは「冬型結露」のみ。近年問題化し始めている「夏型結露」については、現時点でも統一的な計算条件すら十分に整備されていません。

リノベーションみらつぐ基準
「結露対策」項目評価

当会の新築基準では、結露計算において非常に厳しい前提条件を採用しています。
冬季は、
外気:-3℃/相対湿度60%/絶対湿度1.8g/kg
室内:23℃/相対湿度50%/絶対湿度8.7g/kg

夏季は、
外気:32℃/相対湿度73%/絶対湿度22.0g/kg
室内:23℃/相対湿度50%/絶対湿度8.7g/kg
という条件です。

これらは、静岡県で実際に起こりうる厳しい気象条件をもとに、「室内を快適な状態に保ったときでも結露しないか」を確認するための基準です。結露計算は、現実に起こりうる温湿度条件で行ってこそ意味がある——。私たちはそう考えています。

一方、リノベーションでは、耐震や断熱など他項目との優先順位もあるため、新築基準を最上位としつつ、2022年基準も含めた段階的な評価を採用しています。その中間基準として設定しているのが、以下の条件です。

冬季は、
外気:2℃/相対湿度70%/絶対湿度3.0g/kg
室内:20℃/相対湿度50%/絶対湿度7.5g/kg

夏季は、
外気:32℃/相対湿度66%/絶対湿度20.0g/kg
室内:25℃/相対湿度56%/絶対湿度11.1g/kg

これらを基準に、結露対策性能を三段階で評価しています。
みらつぐ新築基準(厳しい基準) 20点
中間基準(一般的な基準) 12点
2022年基準(緩い基準) 5点
それ未満 0点

リノベーションみらつぐ基準