耐震に次いで重要な断熱性能
命と暮らしを守る、という意味で、耐震性能は非常に大切。
しかし、それに劣らず重要なのが住まいの断熱性です。
そもそも日本の住宅は、先進各国に比べて断熱性能があまりにも低いのが現実。
夏は暑く、冬は寒いのが日本の家の「当たり前」ですが、世界を見渡せば「時代遅れ」と言われても仕方がない状況なのです。
Ua値とは?
断熱性能は、Ua値(外皮平均熱貫流率)という指標で表されます。
日本は北東から南西に伸びているため、寒冷地や温暖地ごとに基準となるUa値が設定されています。
これは数字が小さければ小さいほど断熱性能が高くなるもので、
ドイツやスウェーデン、イギリス、アメリカ、カナダなどではUa値0.2〜0.3が一般的です。
一方で日本においては、2022年にようやく断熱等級4(Ua値0.87)が義務化。
さらに上位のグレードも2020年までは存在せず、いくら空調しても暑くて寒いUa値0.87が法律上の最高等級でした。
サーモカメラで実測したデータもありますが、断熱等級4の住まいは冬にエアコンで暖房しても床温度は16°C程度。
これでは足元は冷えてしまいます。

健康に悪影響を及ぼす暑さと寒さ
過剰な暑さや寒さは、住まい手の心身に大きなストレスを与えます。
真夏、気温35°Cを超える酷暑日も増えてきましたし、40°Cを超えるケースもあります。
日差しを避けて建物内で過ごしていても室内熱中症になってしまう事例も多いようですね。
また、温暖地に住んでいるからと言って、真冬の寒さを甘く見てもいけません。
世界保健機関(WHO)は、最低18℃以上の室温を推奨しており、室温が18°Cを下回った場合に健康被害が起こる可能性があることを指摘しています。
日本国内においても、複数の研究機関が住まいの断熱性と健康への影響について調査しており、
明らかに相関関係があるとの研究結果も出ています。
住まいの快適性
健康被害を防ぐというだけでなく、高い断熱性能は「快適に暮らす」ためにも必要不可欠。
人生の大半を過ごすマイホームですから、いかに心地よく、寛げる日々を過ごせるかということも、
あなたやご家族にとって重要なポイントではないでしょうか。
断熱性能を高め、適切な日射コントロールや空調換気計画を実行することで、真夏も真冬も、まるで春や秋のような室温23°Cで相対湿度50%(絶対湿度8.7g/kg)の空間を実現することも可能です。
きちんと設計・施工を行えば、
・冬、暖房しても足元だけ寒い
・夏、室温は低いのに湿気でジメジメする
というようなことも起こりません。
ほとんどの日本人がまだ体験したことのない快適性を、高断熱の住まいは体験させてくれるはずです。

光熱費と気候変動
高断熱の住まいはまた、省エネルギーにも大きく貢献します。
少ないエネルギーで冷暖房ができるわけですから当然のことですね。太陽光発電と組み合わせれば、自宅の暖冷房をほぼゼロエネルギーでまかなうことすら可能です。
昨今のエネルギー問題を受けて、今後も電気料金は値上げ傾向だと予測されています。人が暮らしを営むために、電気やガスなどのエネルギーは必須。家計防衛のためにも、光熱費を抑えられる高断熱の住まいが求められているのです。
そして、そのように省エネルギーな住まいが地域に増えることは、社会課題でもある地球温暖化と気候変動へのポジティブアクション。
健康で、快適で、お金もかからず、地球に優しい。断熱は「みんなにいいこと」だからこそ、みなさんにおすすめしたいと私たちは考えています。
なぜ「断熱等級6以上」なのか
私たちが断熱等級6以上を最低基準にしているのには理由があります。
これまでの日本の空調の主流は、部分間欠冷暖房。つまり、各部屋でつけたり消したりしながら冷暖房を行うというものでした。
しかし、これから主流になるのは、小屋裏やリビング・床下に設けられたエアコン等の空調設備を連続運転して行う全館冷暖房(全館空調)です。
断熱等級4で行う部分間欠冷暖房と、断熱等級6未満で行う全館空調では、実は後者のほうがエネルギーコストがかかってしまいます。快適性とコストパフォーマンスを両立させるには、実は断熱等級6以上が必須なのです。
住宅性能は、目に見えないため中々実感するのが難しいのですが、こと断熱性能は、真夏や真冬に建物の足を運べば体感が可能。
ぜひ、暑さや寒さが厳しい時期にモデルハウスや見学会に足を運んで、その性能ごとの違いを比較してみてくださいね。